セリフなしの短い漫画で、出来事と気持ちを伝える練習
表情だけで伝えようとして、何が起きたのか分からなくなる。セリフのない漫画では、物の位置や動作の前後も使えます。落とした手袋を返す四コマを例に、情報の順番を考えます。
まず、目で追える出来事を選ぶ
最初の練習には、拾う、渡す、開ける、隠すなど、前後の状態が変わる動作を選びます。「昔を懐かしむ」のような内面から始める場合も、古い写真を取り出すなど、目に見える動作に置き換えると描く材料ができます。
今回は、一人が手袋を落とし、もう一人が拾って返す出来事にします。読者に必要なのは、誰の手袋か、誰が気づいたか、どう返したかです。服装の細部より、最初にこの三点が分かるように配置します。
四コマに、一つずつ役割を与える
- 持ち主が歩き出し、鞄から手袋が落ちる。
- 後ろの人物が落ちた手袋を見る。
- 追いついて、持ち主の視界へ手袋を差し出す。
- 持ち主が両手で受け取り、肩の力を抜く。
各コマで手袋の位置がつながっているか確認します。拾う動作を省く場合でも、二コマ目で床、三コマ目で手の中と読めれば補えることがあります。省略で分からなくなったら、必要な動作を戻します。
表情以外に、気持ちを分担させる
驚きなら顔だけでなく、足が止まる、肩が上がる、受け取る手が一瞬遅れる、といった反応が使えます。安心なら、手袋を握り直す、相手へ体を向ける、歩調を合わせるなど、次の動作にも置けます。
全身、手元、顔のどこで反応を見せるかを決めてください。同じ感情を全部に重ねると大きな反応に見えるので、さりげなくしたいなら一つに絞ります。セリフがないぶん、何もかも誇張する必要はありません。
説明を足す前に、欠けた情報を探す
読みにくいときは「気持ちが足りない」のか「物の位置が分からない」のかを分けます。後者なら表情を強くしても解決しません。手袋を画面内に残す、人物の立ち位置をそろえるなど、出来事の接続から直します。
練習の最後に、第四コマだけを変えてください。嬉しそうに受け取る版と、気まずそうに受け取る版です。前三コマを同じにしても意味が変わるなら、最後の反応が働いています。実際の作品では、必要なら短い言葉を戻しても構いません。